なぜコンタクトレンズは処方箋なしで購入できるのでしょうか?
最近は通販や街中でコンタクトレンズを販売しているショップが増えましたね。私が学生の頃はコンタクトレンズは眼科医に併設された眼鏡ショップで購入するというのが一般的な購入手段でした。コンタクト用品だけを売っているお店は見かけた記憶がないですね。
度数やどんなタイプのレンズを購入すればいいのかも分かりませんでしたので、眼科医から渡された処方箋を併設の眼鏡ショップ店員に渡して「はい、これです」という感じで購入していました。
というわけでコンタクトレンズを使用するようになって20年近くになりますが、実はあまり気にしたことがありませんでした。
コンタクトレンズを取扱う業界はどのように変わってきたのでしょうか?
コンタクトレンズは医療機器
度なし/度ありを問わずコンタクトレンズは医療機器という位置づけになります。医療機器は以下の3つの分類されます。
- 一般医療機器(クラスI)
- 管理医療機器(クラスII)
- 高度管理医療機器(クラスIII/クラスIV)
クラスの数字(I~IV)が高くなるほど命や健康に与える影響が大きくなります。コンタクトレンズは分類されるのは上記のクラスIII/クラスIVの「高度管理医療機器」です。
コンタクトレンズと同じクラスIII/クラスIVには他に、心臓ペースメーカー、 人工血管、人工骨といったものがあります。
コンタクトレンズの扱いが変わります – 大阪府眼科医会
気軽に使用しているコンタクトレンズが心臓ペースメーカーと同じ分類とは…驚きです。しかし、考えてみれば目に直接装着する器具ですので、取扱い方法を誤れば重大な影響が出ることは私たちでも想像できますね。
カラーコンタクトはおしゃれを楽しむためのグッズと考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、視力矯正用(度あり)のコンタクトレンズと同様に医療機器に分類されているんですよ。
おしゃれ用カラーコンタクトレンズについて – 厚生労働省
コンタクトレンズの購入に処方箋が不要な理由
コンタクトレンズは高度管理医療機器に分類されていますが、処方箋が必要な医薬品ではありません。平たく言うと薬ではなく機器です。
コンタクトレンズのショップで「処方箋が必要」と言われた場合は、厳密には処方箋ではなく、装用指示書のことを示しています。
コンタクトレンズの処方箋は、眼科医から「このコンタクトを処方してください」と販売所に宛てた文書で、眼科で眼の状態を検査し、処方箋(装用指示書)が交付されます。コンタクトレンズ処方箋と呼ばれているものは、あくまでも「装用指示書」であり、医師が薬剤師に宛てた処方箋とは異なります。
処方箋とは – 株式会社メガネスーパー
そのため、処方箋提出の義務がなく一般のコンタクトレンズショップでも購入できるのが日本の現状のようです。
厚生労働省から一般社団法人日本コンタクトレンズ協会へ通達された「コンタクトレンズの販売時における取扱いについて(PDF)」によると
コンタクトレンズを購入しようとする者に対し、医療機関への受診状況を確認すること。コンタクトレンズの購入者が受診した医療機関の名称については、高度管理医療機器の販売に関する記録に併せて記載し、保存すること。
と、受診した医療機関を消費者に確認するように記載されていますが、次の項で
コンタクトレンズを販売するに当たり、コンタクトレンズを購入しようとする者が医療機関を受診していない場合は、コンタクトレンズによる健康被害等について情報提供を行い、医療機関を受診するよう勧奨すること。
と記載があり、受診していない人に対して受診するように勧奨することという指示内容になっています。こういった背景により、購入時に処方箋を提示する義務はないという判断になっているのでしょう。
処方箋の提示を求めるショップもある
すべてのコンタクトレンズが処方箋なしで購入できるわけではありません。
コンタクトレンズは高度管理医療機器のクラスIII/クラスIV(命や健康に与える影響が大きい)に分類される機器ですので、取扱い方法を間違えれば大きな事故、障害につながる可能性があります。
そのため、コンタクトレンズのメーカーや販売ショップが消費者の安全性を考慮し、独自にルールを設定して処方箋なしでは販売しないと決めている場合もあります。
メーカーAのコンタクトレンズは処方箋なしで購入できるのに、メーカーBのコンタクトレンズは処方箋なしでは購入できないといった状況があります。この場合は、メーカーが販売ショップに対して「購入時に処方箋を確認してください」とお願いしているわけですね。
企業のポリシーによる違いがあるためと理解しておけばいいと思います。
最後に
昔は眼科医に併設された眼鏡ショップでなければ購入できないというルールがありましたので、消費者からすると不自由な思いをしていました。「高いなぁ」と思っても別の眼鏡ショップでは購入できなかったわけです。
その後、薬事法が改正され、自由に購入する店舗を選ぶことができるようになり、価格競争も起きて消費者にはありがたい時代になりました。
ただ、取扱いに注意が必要なことには変わりありませんので、決められた装着方法を守って正しく安全に使用することが必要ですね。
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