リスティング広告はGoogleやYahooなどの検索エンジンの検索結果に表示されるテキストタイプの広告です。クリック課金型の広告ですので表示されるだけでは料金は発生せず、クリックされて初めて料金が発生するため低予算で開始できるメリットがあります。
本記事ではこれからリスティング広告を始めようとされている方に、リスティング広告の概要と、設定から配信までの流れをご紹介します。
これからリスティング広告を始める方、運用を始めて間もない方は下記の運用マニュアルもぜひ合わせてご覧ください。現場で使えるリスティング広告の運用ノウハウをまとめています。
1. 目的を明確にする
リスティング広告に限らずですが、ビジネス戦略には必ず目的(ゴール)の設定が必要です。何を獲得するためにリスティング広告を使うのかをしっかりと考えておきましょう。リスティング広告の配信は目的ではなく、ひとつの手段です。
一般的には「商品購入」「資料請求」「会員登録」「サービス予約」「お問い合わせ」などをリスティング広告の目標に設定することが多いです。
リスティング広告を配信していると、キーワード設定を変更したり、ランディングページのデザインを変更したりと改善を常に行うようになってきます。目標が定まっていないとその改善策もブレてしまいます。「何を達成するために広告配信しているのか」を常に意識するようにしましょう。
2. 利用する広告サービスを決める
国内の検索エンジンはYahooとGoogleの2つだけで90%以上のシェアを占めます。ですので、リスティング広告では、この2つの検索エンジンに向けて配信すればほとんどのユーザーをカバーできます。
Yahooに配信できるシステムが「Yahoo!プロモーション広告」、Googleに配信できるシステムが「Googleアドワーズ」です。
この2社以外の検索エンジン(goo、BIGLOBE、OCNなど)に配信できる「レモーラリスティング」というシステムもありますが、現状では深く調べる必要はありません。まずはYahooとGoogleでスタートしましょう。
リスティング広告とディスプレイ広告
リスティング広告とよく併用する広告に「ディスプレイ広告」があります。
リスティング広告は、すでに前向きに検索というアクションを起こしているユーザーに訴求できるため、顕在顧客に向いた訴求が得意です。
一方のディスプレイ広告は、商品やブランドの認知向上など潜在顧客向けの訴求が強みです。
広告の種類 | 配信対象 | 特徴 |
---|---|---|
リスティング広告 | 顕在顧客 | 顧客は既に関連商品(サービス)に興味を持っており、購入や申込みをしてもらうための最後の一押しをする場合に効果的。 |
ディスプレイ広告(GDN/YDN) | 潜在顧客 | 自社商品(サービス)を知らない顧客に向けての宣伝。顧客は関心を持っていないことも多いため、まずは商品(サービス)の認知をしてもらうために活用。 |
リスティング広告とディスプレイ広告はそれぞれに得意分野が異なりますので、設定した目標達成のためにどちらがいいのか、または両方がいいのかを検討してみましょう。
関連記事:リスティング広告とディスプレイ広告の違い
3. アカウントを作成する
利用する広告サービスが決定したらアカウント作成を行います。
Googleアドワーズ
Googleアドワーズは、Gmailアドレスを取得すれば広告管理画面にログインできるようになり、広告作成の準備を始めることができます。
Yahooプロモーション広告
Yahooスポンサードサーチ(Yahooプロモーション広告のリスティング広告のこと)は、Yahoo!ビジネスIDを取得する必要があります。これは企業用のアカウントで、個人で利用しているYahooのアドレスとは異なります。
取得するには企業情報の登録、携帯電話でのSMS認証が必要です。なお、このアカウントを作成するために使用する連絡用アドレスはフリーメールアドレスは登録できませんのでご注意ください。ただし、Yahoo!ビジネスIDを一旦、取得してから登録情報の編集を行うことで後からフリーメールアドレスに変更することはできます。
4. 広告を作成する
リスティング広告は以下の5つの要素で構成されています。特に広告タイトルはユーザーにクリックしてもらうための最大の訴求ポイントとなります。それぞれの項目はすべて統一性を持たせる必要があります。
例えば、広告タイトルと広告文はギフト商品について記述しているのに、リンク先URLで英会話教室のホームページへ誘導することなどは認められません。
- 広告タイトル
- 広告文(1)
- 広告文(2)
- 表示URL
- リンク先URL
GoogleとYahooそれぞれ各項目に入力できる文字数に制限があります。
関連記事:GoogleとYahooのリスティング広告の文字数について
広告作成が完了したら、先に「広告プレビューツール(Yahoo)」を利用してどのように広告が表示されるかをチェックされることをおすすめします。このツールの利点は、広告のインプレッション(表示回数)がカウントされずにチェックできますので、計測データに偏りが出ることがありません。
広告は掲載前に審査を通す必要があります。不適切な表現の有無やガイドラインに抵触しないかどうかがチェックされ、問題なければ掲載が始まります。
5. 配信条件を決める
広告は、配信エリアや曜日、時間帯などを設定することができます。
配信エリアを決める
配信エリアは全国一律にすることもできますし、エリアを限定して配信することもできます。
例えば実店舗へお客さんを誘導することが目的の場合、あまりにも遠方のユーザーにクリックされても来店の可能性がほとんどないということもあるでしょう。そういった場合などに配信対象とするエリアを絞り込んで、無駄なクリックを抑えて効率的に予算を利用するという設定を行います。
配信する曜日、時間を決める
コンバージョン(CV)の上がりやすい時間帯とそうでない時間帯の傾向が見えてくると思います。その結果を見ると、CVの高い時間帯に絞って配信する方が費用対効果も高いのではないかと考えたくなりますね。
実際にCVが高いのが夕方~夜だったとして昼間は配信しなくていいかというと、そうではありません。自社サイトに訪問後、そのままCVに至ってくれるケースはいいのですが、昼間に広告を見て夜に改めて訪問してCVに至るケースがあります。逆に、夜に見て昼間の時間のある時に再訪問してCVに至るケースもあります。
どちらかの時間帯だけ配信していた場合は、こういったユーザーの再訪問の機会ロスを発生させている可能性があります。極端な配信機会の強弱はつけないほうが良いでしょう。
配信デバイスを決める
自社商品のターゲット層が利用するデバイスがスマートフォンに偏っていたり、逆にB2Bビジネスでオフィスからのパソコン検索に偏っていたりというのはよくある話です。
このような場合に配信デバイスを絞り込んだり、予算配分に強弱をつけることで無駄なクリックを抑えて、より効率的に訴求できるようになります。
6. キーワードを決める
リスティング広告の最大のポイントがキーワードです。この設定次第で効率的な運用ができるかどうかが決まると言っても過言ではありません。
自社商品に関連のあるキーワードを自分で選定して入札します。Googleアドワーズ、Yahooスポンサードサーチともに、設定キーワードは1円から入札をすることができます。
上限はGoogleは規定なし、Yahooは50,000円となっています。ただし、Yahooでいうと上限50,000円で入札した場合でも、この設定金額がそのまま課金されるわけではなく、実際に課金される金額は競合他社との兼ね合いなど様々な要素が影響します。あくまで上限という考え方ですね。
対象外キーワードとは
設定キーワードとは逆に対象外キーワードを設定することもできます。対象外キーワードを設定することで、そのキーワードを含める検索をされた場合に自社広告を表示しないようにすることができます。
例えば、大阪のお寿司屋さんが「大阪 寿司屋」でキーワード設定しているとします。ただし、そのお店は都合により出前をしていないので、出前希望のお客様には対応ができません。よって「出前」を対象外キーワードに設定し、「大阪 寿司屋 出前」などで検索された場合に、広告を表示しないようにすることができます。
対象外キーワードはひとつの広告グループ内で、登録されているキーワードと合わせて2,000個まで登録可能です。
7. 予算を決める
日額上限予算を決める
リスティング広告では1日で利用する上限予算を設定します。
ここで指定した上限を超えないようにGoogleやYahooが自動で調整して広告を掲載してくれます。例えば「1ヶ月で3万円」の予算であれば、1日あたりは約100円と広告管理ツールに設定をしておきます。
日額上限予算の上限と下限については、Googleは特に規定なし、Yahooは100円以上1,250万円以内となっています。(日額1,250万円ってすごいですよね。私には縁のない世界です…)
予算を入金する
リスティング広告の費用の支払い方法を銀行振込とした場合は、事前に指定口座へ入金しておく必要があります。クレジットカードで支払いをされる場合は事前入金は不要です。
初回の入金額については、Googleアドワーズは特に規定なし、Yahooスポンサードサーチは3,000円以上(追加は1,000円単位)の入金が必要になります。広告サービスを開始するにあたっての初期費用はかかりません。
関連記事:リスティング広告の予算入金について
8. コンバージョンタグを設置する
リスティングでは、成果指標のことをコンバージョン(CV)と呼びます。コンバージョンは企業によって様々で、商品の購入数や会員登録の数、お問い合わせ数などが一般的です。
測定するにはコンバージョンが発生するページ(お申込み完了画面など)に専用タグを埋め込みます。専用タグはGoogleアドワーズやYahooスポンサードサーチの広告管理ツールにて発行できます。この専用タグではコンバージョンの発生したユーザーの広告をクリックするまでの行動が分析できます。
さらにサイトに訪問してからの行動まで幅広く分析するには、Googleアナリティクスでもイベントタグなどを利用してコンバージョンを測定することをおすすめします。
関連記事:GoogleとYahooで電話発信コンバージョンを計測する
8. 広告審査を申請する
リスティング広告は管理画面で広告作成を行うと、必ず審査が入ります。作成した文章やリンク先を審査窓口がチェックして、問題なければ掲載される流れになっています。
審査には「事前審査」と「事後審査」があり、どちらのタイプで審査されるかは作成してみないと分かりません。
私の経験上ですが、どちらの審査タイプになったとしても、よほど審査窓口が混雑していない限りは当日~2営業日の間には、結果が戻ってきます。大事なキャンペーンなどで広告掲載開始日が決まっている場合などは、前日や前々日に審査を通すのは当然オススメできませんので、キャンペーン開始日の設定を行い、余裕がある間に事前に広告審査を通しておきましょう。
事前審査になった場合
広告を作成した時点では広告は保留状態で、YahooやGoogleの担当者がチェックして問題なければ、そこから掲載対象の広告となります。審査NGの場合は、管理画面の広告ステータスにその旨が記載されますので、内容の見直しを行って、改めて審査を通す流れになります。
事後審査になった場合
広告を作成した瞬間から掲載対象の広告となりますので、設定したキーワードで検索された場合、検索結果に広告が表示されます。
つまり作成した内容は、後々チェックされるまでは審査保留のような状態です。
ただし、この場合も数時間~1日の間にはチェックされることがほとんどですので、何かしら内容に問題があれば結局は掲載停止になりますので、再度広告の見直しが必要です。
最後に
いかがでしたでしょうか?
リスティング広告は低予算で始められる身近な広告ツールですが、始める際にはきっちりと目的と設定を定めておく必要があります。
手続きの方法など詳細な情報につきましては、各公式サイトもご覧ください。
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